「天空の祝宴」(PHP研究所/堂場瞬一)

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天空の祝宴

フリークライミングはもっとも孤独なスポーツの一つだろう。しかし、これほど「自分は一人ではない」と感じさせるスポーツも他にない。
 岩本空(いわもと・そら)はフリークライマー。世界各地を転戦して大会に出場し、ヨセミテなどでフリークライミングに挑んでいた。しかし、クライミングの好敵手(ライバル)で、親友でもあった江藤が、ヨセミテの巨大一枚岩「ザ・ウォール」攻略中に転落死した!?
 以来、競技の第一線から退き、義父の店でフリークライミングの教室を手伝う岩本のもとに、江藤の妻・夏海が突然訪ねて来る。一周忌を前に遺品を整理し始めたら、江藤の日記が見つかったというのだ。それには、今まで誰も成功していない「ザ・ウォール」の初見での登攀(オン・サイト)成功にかける江藤の熱い思いが綴られていた――。
 地球(ホシ)に自らの爪あとを残すことに情熱を傾ける、孤高のアーティストとも言える男たちを熱く描いたクライミング小説。
PHP研究所

フリークライミングを正面から取り扱った小説は、かつてなかったのではないでしょうか。
マンガだったら、『オンサイト!』(尾瀬あきら)などありましたが。
スポーツ小説がもてはやされている昨今、ついにフリークライミングにたどり着いたか、という気分がします。
著者は、スポーツ小説、警察小説の書き手として定評のある作家です。
これまで、野球、ラグビー、マラソン、プロレスなどを描いています。
これは、本格山岳小説に対して、本格フリークライミング小説とでも言えばいいでしょうか。
これから読みますが、期待大です。

「孤高の人」(坂本眞一/ヤングジャンプ)

漫画版『孤高の人』第3巻は、9月19日発売予定。
集英社
物語が迷走しているように感じます。
連載では、ラストスパートに入っているような雰囲気ですが…。
先が読めないという意味では相変わらずで、よく言えば引きが強い作品なのですが。


孤高の人 3 (3) (ヤングジャンプコミックス)
孤高の人 3 (3) (ヤングジャンプコミックス)

「生還 山岳捜査官・釜谷亮二」(山と溪谷社/大倉崇裕)

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生還 山岳捜査官・釜谷亮二
山と溪谷社


9月1日発売予定。
『山と溪谷』07年4月号から08年3月号に掲載された「生還」「誤解」「捜索」に、書き下ろし「英雄」を追加して単行本化。
『聖域』(東京創元社)に続く、山岳小説単行本ですね。
聖域

「尾川智子のボルダリングBasic」

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尾川智子のボルダリングBasic―クライミングで美しい身体を手に入れる! (SJセレクトムック No. 68)
DVD付きの技術解説ムック。
ライミングが一般に普及していくのはわるいことではないと思うけれど、安全とか基本的なマナーだけは知った上で楽しんでほしいと思います。
労山の『登山時報』に菊地敏之氏が、「ボーリング感覚でボルダリングに行く人たち」について書いていました。
この本には「ゲーム感覚でシェイプアップ!」とありますが、「ゲーム感覚」だけの人が増えないことを祈ります。

「還るべき場所」(文藝春秋/笹本稜平)

別冊文藝春秋』で連載された山岳小説。単行本が6月20日発売予定。
e-hon

スケールの大きな冒険小説で定評のある笹本稜平氏の新境地。登攀中に恋人を遭難で失った主人公・矢代翔平。過去の悲しみを乗り越えるため、登山ツアーのガイドとして「悲劇の現場」K2に再び戻ってきた。圧倒的な迫力で描く感動の山岳小説。