「孤高の人」(週刊ヤングジャンプ/坂本眞一)

新連載が始まったときに書こうと思ったのですが、いつの間にやら一週間経って、第2話も掲載されてしまいました。


新連載時のアオリには、こう書かれていました。
「山岳小説の金字塔『孤高の人』が現代を舞台に甦る――!!
俺は、極限のチャレンジャーだ。
「なぜ生きる?なぜ登る?」
この歴史的命題が
俺たちの心をゆさぶる。
新世代クライミングストーリー」


漫画の後には、山野井泰史のインタビュー記事もあり。


物語は、神奈川県立横須賀北高校に「森 文太郎」という青年が転校してくるところから始まります。
森は人間付き合いが不得意で、一人を好む性格。
ライミングは未経験だったが、同じクラスの宮本(山岳部?)が、ちょっかいを出してきたことで、校舎の壁をよじ登る。そのときの感覚が忘れられず、クライミングの世界に足を踏み入れることになる――。


校舎の壁で、ハングをランジして、ヒールフックからマントリングという流れにはしびれました。
ランジで跳んだ瞬間、手がかかった瞬間、高度感をあおる描写などは、なかなか見応えがあります。
第2回の「自分は今 生きてるぞって」というところもいいですね。
これからが楽しみです。


原作者の鍋田吉郎氏は、パタゴニア・パイネ峰中央岩塔の日本人初登を目指した経歴の持ち主(結果は断念)。クライミングに関する描写が適切なのも、うなずけるところ。
http://www.luke19.jp/nabeta/


ただ、あくまでも『孤高の人』は原案に過ぎないようです。
加藤文太郎の物語とはあまりにもかけ離れています。
孤高の人』をそのまま漫画化するのは、古すぎてウケないと思いますが、ここまで変えるなら、いっそタイトルも別のものにした方が良かった気がしますが。
あと、「うぜぇ」「うぜぇ」と繰り返す主人公の言葉遣いには、ちょっと抵抗があります。


この勢いで、第1話冒頭のK2東壁のシーンまでつないでくれれば、面白くなりそうです。
ちなみに、「ヤングジャンプ」のサイトで、第1話のみ試し読みができます。(たぶん期間限定)
http://yj.shueisha.co.jp/manga/new_serial/no3/index.html


参考:ヤングジャンプ:新田次郎の名作「孤高の人」を漫画化 若きクライマーの成長描く(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)



孤高の人 (上巻) (新潮文庫)
孤高の人 (上巻) (新潮文庫)



孤高の人 (下巻)
孤高の人 (下巻)