2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「魔の山(手塚治虫漫画全集「ボンバ」収録)」(講談社/手塚治虫)

1979年 "漫画の神様"手塚治虫の本格的山岳漫画。 熟練クライマー間ケンが、パートナー佐佐木小次郎と遭難者の救助に向かう。そこは屈指の難所「多良魔岳」の「牛の舌」。苦労して、命からがら遭難者のもとに辿り着くが・・・。 さすが手塚大先生である。山な…

「こちら愛!応答せよ(全7巻)」(講談社/上原きみこ)

高校山岳部の小林愛が織り成す、愛と青春と山の「きらめきの青春グラフィティー」。 いわゆる少女漫画で、目がキラキラ輝いているし、突然背景に花が出てきたりして、慣れない最初は読むのが結構つらかった。それに、出だしが極甘ラブストーリーで、読んでい…

「おれたちの頂(全2巻)」(講談社/塀内真人(夏子))

【amazon】 1984年 サッカー漫画の「Jドリーム」などを書いている作者の初期(昭和58年)の作品。もう山の話は書かないのだろうか。 小学生で山を知った少年が、厳冬期エベレスト南西壁を登るまでになる成長記。顔がだんだん大人っぽくなっていく様子が、…

「蒼き氷河の果てに・・・−植村直己物語−」(講談社/島崎譲)

【amazon】 1987年 植村直己のエベレスト日本人初登頂までを、大学山岳部の親友、小林との友情という観点からみた物語。コミックスには、この物語のほかに、サッカーとバスケの話も弊録されており、実際の植村の話は、四話分、コミックスの半分くらいでしか…

「氷壁の達人」(主婦と生活社/神田たけ志)

【amazon】 1991年 山学同志会の小西政継の軌跡を描くノンフィクションコミック。中学で初めて山を知った小西が、マッターホルン北壁を登頂するまでが描かれる。 時代背景も織り交ぜながら丁寧に書かれているので、とても好感が持てる。なにより小西政継の強…

「K」(双葉社/画:谷口ジロー 作:遠藤史郎)

1993年 ネパールでポーターを営む謎の日本人K(ケイ)に関する5つの物語。 谷口ジローの緻密な絵で描かれる山の姿は、その寒さもその恐ろしさも痛いほどに伝わってくる。汗の一粒一粒で、その緊張感がこちらにも感じられる。 エベレストの南西壁バットレスを…

「岳人(クライマー)列伝」(文藝春秋/村上もとか)

エベレスト南西壁、ドリュ北壁、グランド・ジョラス北壁、K2北西稜などに挑むさまざまなクライマーの物語。 絵自体は古臭く感じるが、その分逆に妙なリアリティを感じる。物語も非常に泥臭く、熱すぎるほどの山の男たちの心情が描かれている。リアル系山漫画…

「学習まんが人物館 植村直己」(小学館/監修:中出水勲 まんが:本庄敬 シナリオ:滝田よしひろ)

【amazon】1996年 野口英世、宮沢賢治、ヘレン・ケラー、エジソンなどと並んで、伝記漫画の一作としてこの「植村直己」がある。 クライミングの緊迫感とか生と死の狭間の緊張感、などというものは皆無だが、植村の一生を小学生にもわかりやすくコンパクトに…

「ゴルゴ13シリーズ 『白龍昇り立つ』」(小学館/さいとう・たかを)

1996年6月(雑誌掲載) パンチェン・ラマの生まれ変わりとしてチベットに住むラモンを収容所から救い出す、という依頼を受けたゴルゴ13。転生祭の混乱に乗じて逃げ出したラモンとともに、チョモランマ・サウスコルを越える山岳ルートでの脱出を図るが、そこ…

「告白〜コンフェッション〜」(講談社/原作:福本伸行 作画:かわぐちかいじ)

1999年 浅井と石倉の二人で雪山登山中、不測の事故により石倉は滑落。左足を負傷した。天候が悪化し、小屋の在処も分からない。このままでは二人とも死んでしまう、という状況の中、死を覚悟した石倉が重大な告白をする。しかし、その時眼前に山小屋が出現し…

「捜索者」(小学館/谷口ジロー)

【amazon】2000年 1999年5月から11月にビックコミックに連載されていた作品。 南アルプス甲斐駒ヶ岳の山小屋の主、志賀は、今は亡き山岳パートナー、坂本の一人娘が失踪したことを知る。ダウラギリで死んだ坂本は、志賀に「妻と娘を頼む」というメッ…

「THE BIG WALL(ビッグ・ウォール)」(文藝春秋/作:横溝邦彦 画:鎌田洋次)

【amazon】2000年 アルパインクライマー山野井泰史が、題材やアドバイスに関わったという作品。山野井自身も「人が山に挑むことの意味がこの作品に隠されているかもしれない。」というある意味微妙なコメントを寄せている。 大学の美術の先生、千手泰史は3年…

「ホワイトアウト(全3巻)」(講談社/原作:真保裕一 漫画:飛永宏之)

2000年 基本的には小説に忠実な漫画化ではあるが、細部で小説とはまた違ったアレンジがなされている。漫画ならでは、の飛躍的な「ウソ」もあり、物語を盛り上げる上では効果的となっている。太白ダムへの侵入シーンなど、小説はもちろん、映画でも表現できな…

「山靴よ疾走(はし)れ(全5巻)」(集英社/紅林直)

1999年〜2001年 2000年7月まで週刊ヤングジャンプに連載され、その後増刊号などで話が続いた。 「北アルプス警備隊」という架空の山岳救助隊を舞台にした物語。剱岳の単独登山中に遭難してしまった医大生・鹿賀晶が、新人女性警備隊員・嘉門ハルカに救助され…

「神々の山嶺(全5巻)」(集英社/原作:夢枕獏 作画:谷口ジロー)

2000年〜2003年 夢枕獏氏の山岳小説「神々の山嶺」の完全漫画化である。原作と話の展開が少しずつ異なる。大筋では同じなのだが、物語の順序が入れ替わっていたりする。あいかわらず谷口ジローの絵は素晴らしい。圧倒的な迫力。山漫画の一つの頂点と言える。…