「捜索者」(東京創元社「ミステリーズ!vol.09」/大倉崇裕)

ミステリーズ! Vol.09(2005February)

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「生還者」(「ミステリー傑作選39 完全犯罪証明書」(講談社文庫)収録)という山岳ミステリーを書いた大倉崇裕の短編山小説。競作短編「川に死体のある風景」のひとつ。

枕木岳で単独の男性が遭難。県警の救助隊が捜索に向かう。偶然、山小屋に泊まっていた地元山岳会のパーティも捜索に合流することになった。遭難者は救助されたが、捜索を手伝った山岳会のメンバーが、死んでしまった。その死は、一旦、事故として処理された。しかし……。

大倉氏が山岳ミステリーを書く、というのは、2年くらい前から予告されており、それだけ期待していたのだが、どうも粗が目立つ作品で残念。

・「バースルート」とは「トラバースルート」の意味か?
・ザックのなかで水が漏れて、インナーシューズが濡れる??
・ザックのベルトが突然切れて、ザックをデポする???
動機もトリックも、ちょっといただけない。
貴重な山小説書きだけに、今後に期待したいところ。
「夏ころに山岳ミステリーの長篇が出せるかもしれない(「2005本格ミステリ・ベスト10」より)」と言っていたので、その長篇を待つことにしたいです。
東京創元社「ミステリーズ!vol.09」
Muhoの日記