「懐郷」(新潮社/熊谷達也)

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懐郷

小説新潮2005年1月号に掲載された「銀嶺にさよなら」を含む全七編の物語。
「銀嶺にさよなら」は、昭和三十八年の月山が舞台になっていました。
山シリーズになるのかと思ったのですが、どうやら、「昭和を生きた女たち」の連作で、たまたま山が舞台になっただけだった模様。
熊谷達也マタギをテーマに、山を舞台にした作品が多く、山の描写も緻密ですが、山が「生活の場」となるため、「山岳小説」とは言いづらい部分があります。
ぜひ今後、山をメインにした作品を書いてくれることを期待したいです。

日本の女を変えた時刻――昭和30年代。安保闘争集団就職、米軍基地の撤退……激動する時代を、強くしなやかに生きた愛すべき女たちがいた。失われた「日本の女」の横顔をきざむ七つの物語。

新潮社