「谷川岳滑落事故」(新風舎/浜名新)

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谷川岳滑落事故―高次脳機能障害から復活できるか
−−高次脳機能障害から復活できるか


厳冬期の2月、谷川岳オキの耳あたりの岩峰から東側のマチガ沢方面の岩壁へ滑落・墜落。
無線で救助要請するも、吹雪のため、捜索打ち切り。
一晩ビバークの後、ヘリで救出された30歳の男性。
高次脳機能障害で、会話はできるものの、意識障害や健忘症などが見られた。
彼のその後の経過などがつづられる。


医学用語が頻発されるので、だいぶとばし読み。
「小説」とはなっているが、かなり具体的でリアルな話なので、実際の事故をもとにしているのかもしれない。
手術とか、術後の経過とか、どういった傷害なのか、ということが克明に描かれているが、門外漢には詳しいことは理解できず。
ともかく判ったのは、事故を起こすと大変だ、ということ。
たいていの物語は、事故が起こって、助かった(死んだ)、というところで終わるものだけど、現実の苦労はそこからがスタートとなるのだろう。
医学小説で取っつきにくいけれど、事故を起こす前に読んでおいても損はない。


そのほか、4本の超短編が併録。笹子雁が腹摺山での話もあるが、あまり山とは関係ない。