「イカロスの山(第2巻)」(講談社/塀内夏子)
第2巻が発売されました。
帯が、よしもとばななでびっくりしました。なぜ、よしもとばなななのでしょう?山とは関係ないし。
「どうなるかうすうすわかっていてもぐいぐいひきこまれる」
というのは褒め言葉なのか微妙な感じ。
先の展開が見え見え、というのをオブラートで包んでいるような……。
でも、吉崎の死は、結構意外に感じましたが。
以下、ダメなところを突っ込むときりがないので、心に留まったセリフだけを挙げてみます。
・「『危険』だから登るんじゃない」「『困難』だから登るんだ」
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- 言い古されてる表現ですが、ここまで正面から言われると、ぞくっと来ます。
・「おれ何もないから」「“山”のほかに 自分に 何もないから」「失いたくない」
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- このあと、素手になってハングを登りきり、吉崎も成長したな、と思わせておいて、次の展開へ。
・「達也……朝だぞ……」
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- 吉崎の死に関する展開はあり得なさすぎると思いますが、細かいことに目をつぶって、ザイルパートナーの死という点で考えると、感動できるポイントかな、と感じます。
・「平岡さんありがとうございます 今 今 あの子を返してもらいましたっ」「あなたがずっと抱えていた達也の魂を……」「ようやく」
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- 吉崎のお母さんのセリフ。ここは泣くところでしょう。
・「平地でさ 歩道をふつうに歩いていてあたりまえで そういうことを 特に なんとも思わないだろう?」「でも山じゃちがう」(中略)「もう一歩一歩が命がけだ」「必死でしがみついて 攀じ登って……」「一歩一歩が 生きてる実感であふれている」「好き好んでゼイゼイハァハァと でもようやく登り終えて ふり返るとそれまでの労苦が 距離と高さでわかるんだ」「ようやくここまで来たか ちょっとがんばったじゃないか--」(中略)「平地でそこまで感じられることが いくつあるだろうか--」
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- ちょっと長いけど、外せないので引用しました。三上が自分の心情を吐露する場面。今のところ、この第16話が一番好きです。
さて、第3巻は来月6月23日発売予定。連載も佳境に入っていますが、これで完結するでしょうか?
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イカロスの山 1 (1)