「最新アルパインクライミング」(東京新聞出版局/菊地敏之)

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最新アルパインクライミング
4年前に出版された『最新クライミング技術』の続編。
前著は技術がメインだったが、今回は技術よりもむしろ理論を主としているように感じられた。
とくに「アルパインライミング概説」には、しびれた。
気になった部分を2、3引用しようと思ったが、どこも外せず、すべて必読。
私なんかはまさに
「取り立てて難しいレベルに手をのばさなくても良い。安全に楽しめれば自分は充分だ」(p34)
と思っていた人間なので、びしびし心に響いてきた。
時代の流れとともにクライミングも常に変化を続けている。その変化を無視することは不可能だ。
本書でいう「アルパインライミング」とは、自然を相手にする、クライミングを指し、アルパインとかフリーとか、そういう分類すら、すでに意味をなさなくなっていることを思い知らされる。
アルパインだから高難度を目指さなくてもいい、いままでこのやり方でやってきたから大丈夫、という言い訳はもう通用しない。
かつて、『生と死の分岐点』がクライミング界のエポックとなったように、本書を境に、ひとつの時代が変わるかのように思われる。
それほど、刺激的であり、意義深い本に感じた。
すでに時代は変わっている。旧来の技術はもう通用しない。(というより、危険であることが証明されている)
(広義の)アルパインライミングをやっている人は、とりあえず読んで欲しい。批判するにしろ、受け入れるにしろ、すべてはそれからだ。


最新クライミング技術
最新クライミング技術



生と死の分岐点―山の遭難に学ぶ安全と危険
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