「クライマーズ・ハイ」(文春文庫/横山秀夫)

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クライマーズ・ハイ

文庫版を読み終わりました。
「単なる『文庫落ち』にならぬよう、時間の許す限り手を入れて出すつもり」
と言っていたわりに、ほとんど変わってませんでした。
細かく見れば、言い回しの変更など字句の修正はありましたが、『マークスの山』(高村薫)ほど、大幅な改稿はなかったと思います(たぶん)。(ちなみに『マークスの山』は単行本版の方が、私は好みです。)
本書は、これで都合4回読んだことになります(雑誌連載時/単行本化/ドラマ放送直前/(ドラマ版)/文庫化)。
何度読んでも面白いものは面白いですね。
衝立登攀シーンの緊張感も、新聞社内の緊迫感も、親子関係の泣かせどころも抜群です。
個人的には、
「俺は『新聞』を作りたいんだ。『新聞紙』を作るのはもう真っ平だ」
というところが(山のシーンを除けば)好きです。


ひとつ残念なのは、文庫版では、表紙イラストの山の部分が帯に隠れてしまうこと。帯を掛けた状態だと、山が全く見えず、飛行機が飛んでるだけになってしまいます。
単行本は、山がどーんと切り立っていて、帯の文句も(初版時は)「男には、乗り越えねばならない山がある」と山がメインだったのですが、文庫版は墜落事故メインになっています。あらすじからも衝立登攀はほとんど無視されてます。
まあ、内容からしても、それが妥当かもしれませんが、ちょっと寂しいです。


→単行本
クライマーズ・ハイ


→ドラマDVD
クライマーズ・ハイ