「イカロスの山(第9巻)」(講談社/塀内夏子)

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イカロスの山 9 (9) (モーニングKC)

イシュパータの意味が判明したり、平岡生存が確定したりと、いろんな伏線が回収される第9巻。
が、平岡捜索の話になってから、描写がグダグダになってる気がします。とても8000m峰での遭難とは思えない緊迫感のなさ。
2晩ビバークしても凍傷すらしておらずほぼ無傷だったり、p94でははしゃぎまわったりしてるし。平岡は全く悲壮感もなく、余裕で下降してるのは、世界を代表する驚異的な登山家だから、ということでいいのでしょうか。むしろ捜索隊の方がフラフラになってるんですけど。


イシュパータについては間が空きすぎてるので、忘れられてるのかと思いましたよ。6巻の48話で、「パキスタンの……少数民族の言葉だ……意味は……その言葉の意味は……」(以下次号)となったところで場面転換して、73話でやっと戻ってきました。「『こんにちは』だったり『さようなら』だったり……いろんな時に使える 『また会いましょう』という意味もある」とのこと。日本語で同じような言葉を探すのは難しいですね。


さて、あいかわらず、変なのは、懸垂下降の描写。浅打ちハーケン一本で、よく降りられるなあ。しかもそのままユマーリングしてるし。懸垂のときはダブルロープなのに、登り返すときにはシングルになったりします。
p58のデポ品。食料はともかく、ザイル2本は要らないでしょう。そもそも平岡はザイルを持ってたわけだし、合わせて3本もあったら重いし、じゃまだし、使えないし。
p64のハーケンとスリング。ハーケンが浅打ちなのは、もういいです。ソウンスリングに結び目が見当たらないのが気になりました。どうやって、ハーケンの穴に通したんだろう。
p139、セルフビレイをとった!という決定的なシーンなのに、どうみても安心できません。あのままハーケンに体重を預けたら、ハーケンは外れそうだし、ハーネスも心配だし。せめてもう一本ハーケンを打つとか…。
p147、最後の2コマ。懸垂下降のセットは、まるで手品のようですね。ロープが突然消えてます。何がしたかったのでしょうか?


第10巻は10月23日発売予定です。
講談社コミックス発売予定
モーニングの連載は、いくらなんでも終わりが近いと思うのですが…。