「蒼き氷河の果てに・・・−植村直己物語−」(講談社/島崎譲)

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 1987年
 植村直己のエベレスト日本人初登頂までを、大学山岳部の親友、小林との友情という観点からみた物語。コミックスには、この物語のほかに、サッカーとバスケの話も弊録されており、実際の植村の話は、四話分、コミックスの半分くらいでしかない。
 植村直己を描くのに、こう言う切り口もあるのか、と目からウロコな感じがした。同期で明大山岳部に入部した植村と小林。二人は深い友情で結ばれていたが、彼は残念ながら交通事故で亡くなってしまう。植村がエベレストの頂上に小林の写真を埋めたのは有名な話であるが、植村の業績からすると、そこは最初の一歩であるように思われる。しかし、そこまでの部分を丁寧に描いているのは、とても好感が持てる。ただ、やはりこれだけではあまりにも短すぎる。うまく描かれているだけにもったいない気がする。
 話とは関係がないが、絵が「おれたちの頂」によく似ている。植村直己が少女漫画のキャラクターのように描かれているのは、ちょっと納得できないかも。