「終わりのない悲鳴」(講談社・小説現代12月号/笹本稜平)

新シリーズ「奥多摩駐在物語」のスタート。
奥多摩の非番の警察官が、たまたま行方不明者の事件に遭遇。鷹ノ巣山の縦走から、舞台は水根沢谷の遡行へ。そして物語は殺人事件へと発展。

著者は、「天空への回廊」「グリズリー」の笹本稜平。
「天空への回廊」はエベレストを舞台にした冒険小説。
「グリズリー」は山岳要素は少ないものの知床の山が重要な役割を占めています。
そして、現在、小説宝石(光文社)で連載中の「極点飛行」は、南極大陸を舞台に国家レベルの陰謀渦巻く冒険小説となっています。
山をモチーフにした壮大なスケールの冒険物が得意なようですが、こういう奥多摩を舞台にした一見地味な短編でも十分魅せてくれました。「グリズリー」のときは、まったく知床に行かずに書いたそうでしたが(それにしては知床の描写は、細かい部分まで真に迫っていました)、今回水根沢谷には行ったのでしょうか。
主人公の過去にもいろいろあり、シリーズ化されそうなので、この先にも期待したいです。
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小説宝石
楽天ブックス:笹本稜平氏インタビュー