「翼を持ったお巡りさん」(山と溪谷社/谷口凱夫・編)

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主に富山県の山岳におけるヘリレスキューを描いたノンフィクション。
基本的には、山岳警備隊やヘリパイロット、実際にヘリ救助された人の手記で構成されているが、「登山者のための安全運航知識」という章も設けられている。
クライマーなら、実際にヘリによる吊上げを見たことがある人も多いだろうし、実際に救助されたことがある人もいるだろう。そうでなくても、あまり人の入らないところに行く人や、雪山を登る人、もちろん一般縦走でも、ひとたび事故を起こせば、ヘリによる救助は他人事ではなくなる。
当然、自力救助するのが最も理想的ではある。しかし、物理的に救助を要請せざるを得ない場合、が存在するのも事実である。
「登山者のための安全運航知識」の章には、ヘリの出動基準や負担金額、誘導方法などが解説されている。「ヘリに救助を求めるサイン」「発見されるための努力を」の項は、熟読必須。また、ヘリが万能ではない、ということも頭に入れておく必要があるだろう。
現在、山岳遭難の7割でヘリが活躍しているという。山に登る人は、(スタイルに関わらず)、この本を読み、ヘリ救助の実態を知っておくべきであろう。
あとがきにもあるが、『登山者や関係者の「バイブル」的な内容』になっていると思う。