「秋のトリコロール」(講談社・小説現代2005年10月号/笹本稜平)

奥多摩駐在物語」シリーズ第4弾。

休暇中の江波が、槍ヶ岳北鎌尾根ルートで出会った少年。彼はなぜ山に向かったのか。

このシリーズは、これまで奥多摩周辺の、ある意味地味な場所での事件が多かったのですが、今回は、北鎌尾根が舞台。ほぼ全編において、北鎌尾根の登攀でつづられます。さらに回想シーンには、西穂から奥穂の縦走が出てくるなど、盛りだくさん。
謎解き要素部分も、わりときれいにまとまっているように感じました。
連載開始当時は、新たな山小説シリーズだと期待して読んでいたのですが、地味な展開が続くので、最近は流し読みで、舞台を確かめるくらいしかしていませんでした。
個人的には、今回のような展開の方が好みです。場所を奥多摩にこだわらず、この路線で話が続くなら、面白くなってくると思います。
小説現代