「グリズリー」(徳間文庫/笹本稜平)

グリズリー

元北海道警SAT(特殊急襲部隊)狙撃班の城戸口通彦は、今では北見方面本部斜里警察署地域課の山岳救助隊員だ。
三月上旬、知床連山最高峰の羅臼岳に登山をしてい城戸口は、ひとりの男に出会った。赤いアノラックの上下にスキー兼用のプラスチック登山靴。中肉中背の男で、顔じゅうに髭を生やしている。縮れた長めの髪はバンダナでまとめている。髭や髪に白髪が混じっていないことからさほど年配でもない男は言った。
「城戸口通彦。五年前は道警SATに所属していた。俺の心の友を射殺した男だ」
薄ら笑いを浮かべるその顔にはたしかに見覚えがあった。SAT狙撃班時代、札幌市北区北二十四条の、北区役所に近いビルにある消費者金融の店舗に二人組の男が侵入した。そのうちのひとりは城戸口が射殺。そして、今ここにいるのは生き残った元自衛官の男だった。
自衛官のその男・折本敬一は、不気味な言葉を残して、山を降りていった――。その邂逅は、大型テロを目論む折本と、それを阻止せんとする城戸口との、極限の知床半島で孤独で壮絶な闘いが始まる序章に過ぎなかった!

徳間書店
2004年に単行本が発売されましたが、2月2日に文庫化。
山はあまり出てきませんが、後半の知床バトルは読み応えがありました。