「シャトゥーン ヒグマの森」(宝島社/増田俊成)

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シャトゥーン―ヒグマの森

北海道の北端に大樹海が広がっている。神奈川県の広さに匹敵する広大な森だ。平均気温は北極圏より低く、冬にはマイナス40度を下回る日も珍しくない。
そんな土地の研究林を管理する鳥類学者の元で年末年始を過ごそうと、彼の親族や学者仲間たちが集まっていた。
そこへ、ヒグマに襲われたという密猟者が逃げ込んでくる。車が横転してしまい動かず、電話も通じない。小屋に集まった人々は完全に孤立してしまったのだった。
やがて、体重350キロを超す巨大なヒグマが小屋を襲う。秋に食いだめに失敗して冬眠できず雪の中を徘徊するシャトゥーン(穴持たず)と呼ばれる危険なヒグマだった。密猟者の銃程度ではヒグマの動きを止めることはできない。ヒグマによって少しずつ破壊されていく小屋。そして、人食いヒグマへの恐れが、人々から冷静さを奪い去ろうとしていた……。

http://tkj.jp/book/book_01563901.html

このミステリーがすごい!』大賞 第5回 優秀賞受賞作。
ヒグマが人を襲うといえば、名作「羆嵐」(吉村昭)を思い浮かべます。
巻末の大森望の解説でもそのことに触れられていますが、その「羆嵐」にどこまで迫れるか。期待して読んでみたいと思います。


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