「セルフレスキュー」(山と溪谷社/渡邊輝男)

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セルフレスキュー
登山技術全書シリーズの第11巻。
そもそも山岳レスキュー技術が書かれている本が、いままでほとんど存在していなかった。
日本アルパインガイド協会のマニュアル(→こちら)はあったが、市販されているものではなかったし、『全図解レスキューテクニック』は初級者にしぼったものであった。
そのため、本気でレスキュー技術を学ぼうとすると、洋書(『Self-Rescue』など)に頼らざるを得ない部分があった。
その点、本書は、かなりマニアックなところまで踏み込んで書かれている。一読しただけでは、理解できないところも多々ある。一般縦走しかしない人には、意味不明な本かもしれない。しかし、クライミング、雪山を本格的にやる人にとっては、読み応え、使いごたえのある一冊となっていると思う。


心肺蘇生法や止血法などの一般的な救急法にも触れられるが、それはごくわずかな部分。
この本のキモは、「第5章 岩場のセルレスキュー」「第6章 雪山のセルフレスキュー」にあるといえるだろう。
ロープワークに始まり、セカンドのレスキュー、コブ(結び目)の通過、トップのレスキュー、引き上げ法、雪上搬送、雪面での引き上げ……などなど。
本を見ているだけでは頭に入ってこないので、ここに書かれている技術がすべて正しいのかどうか、私には判断できない。ただ、類書のない本であることは間違いがなく、山岳会などでの救助講習では、必須のマニュアルになると思われる。


さらに言うと、事故が発生したときの家族や仲間の対応、救助費用の支払い、関係者へのお礼にまで触れているのがすごい。
いざというときのためにも、備えておきたい本である。

全図解レスキューテクニック 初級編
全図解レスキューテクニック 初級編



Self Rescue (Falcon Guide)
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Climbing Self Rescue: Improvising Solutions for Serious Situations (Mountaineers Outdoor Expert)
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