「イカロスの山(第7巻)」(講談社/塀内夏子)

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イカロスの山 7 (7)


ついに、今世紀最初で最後の8000mの未踏峰に到達。
登頂シーンはそれなりに感動的でしたが、下山にこんなにかかるとは予想外。果たしていつまで続くのでしょうか。


さて、なんとか登頂を果たしましたので、時系列を追ってみましたが…。

2006/5/8 平岡・三上、C2(5800m)へ
5/12 日本隊、C3(6300m)への荷上げほぼ終了
? 平岡・原田、C4(7000m)設営完了
? 越山・三上、C4へ
? クロアチア隊事故。平岡・三上、救助へ
? 平岡・三上、C2へ(1日停滞)
? 原田、C4で雪崩に巻き込まれる
? 平岡・三上、C4へ
? 原田、BCへ
5/20 平岡・三上、C4出発。C5設営
5/21? 越山・木村、C5(7500m)へ
5/29 平岡・三上、C5出発。3日分の食料+3日分の非常食(同日、C5撤収)
5/30 平岡・三上、ビバークポイントから7756m+1ピッチへ(7912m?)
6/1 平岡・三上、AC(7912m)から頂上(8006m)へ
…登頂6/2 4:06am?(1日ずれた?)〜ビバーク(7500m)
6/2 木村、C4からC3に下降。三浦、BCからC3へ
6/3 平岡・三上、ビバークポイントからC4へ。越山、C4待機

どう考えても登頂日がずれてきます。
6巻の132ページで「6/1 午前0時 ACを出発 登攀を開始−−」とあり、
「AM 0:52 標高7930m地点到達」「AM 2:10 2ピッチ終了(7952m地点)」「午前3時2分 7980m地点到達」「AM 4:03 最後の稜線をゆく」
と続きますが、
第7巻の24ページで「6月2日 午前4時6分 日本隊北壁より登頂」となっており、1日経過しています。タイムスリップ?


そのほか気になった点。
アメリカ隊は荷物が大きすぎです。頂上アタックにあんな大きなテントマットは要らないだろうと思います。あと、ハリウッドの映画会社がスポンサーに付いていたはずなのに、登頂シーンはカメラなしでいいのでしょうか?
・C5へのルートが崩壊して、戻れないはずなのに、なぜ同ルート下降するのでしょうか?東稜の方が明らかに簡単そうですが、そっちを下山するのはルール違反?
・p76の懸垂支点がピトン1本で、しかも抜けそうになってますが、大丈夫?
・p182であった中間支点が、p185では消えてます。
・これは間違いではありませんが、「『神々の頂』は『人間たちの山』になった」というのはおこがましい気がして、あまり好きではありません。
・これも間違いではありませんが、帯の文句が第6巻は「北壁制覇!!!」、第7巻は「初登頂!!」となっています。たしかにそうなのですが、北壁制覇と登頂は、話にしてわずか1話分、時間は3分差、標高は(たぶん)数メートル違いなので、ほとんど変わりはないと思います。まあ、JAC東海支部の冬季ローツェ南壁はあと41メートルというところで、「南壁制覇!」ではあっても「登頂断念!」だったので、それもありといえばありですけどね。


以上。