「告白〜コンフェッション〜」(講談社/原作:福本伸行 作画:かわぐちかいじ)

告白(コンフェッション)
1999年
 浅井と石倉の二人で雪山登山中、不測の事故により石倉は滑落。左足を負傷した。天候が悪化し、小屋の在処も分からない。このままでは二人とも死んでしまう、という状況の中、死を覚悟した石倉が重大な告白をする。しかし、その時眼前に山小屋が出現し、二人は一命を取り留める。そして・・・。
 ストーリーは全く知らない方が楽しめる、そんなタイプの話。原作の福本氏は、「カイジ」や「アカギ」を書いている方。心理戦を描かせたら右に出るものはいないと思われる。この話も二人の男の、山小屋という密室空間での心理戦をうまく描いている。その話に「沈黙の艦隊」「ジパング」のかわぐちかいじ氏の絵が当てられている。絵にリアリティがあるだけに、緊迫感も伝わりやすい。二人の男の表情の変化は見物である。とはいえ、ストーリーは完全に福本チックなので、「ざわざわ」という例の擬音が聞こえてきそうな場面も多い。
 密室空間として、場面に山小屋が選ばれているだけなので、登攀シーンなどは皆無。山の男の生き様、というようなものもない。山の話を期待すると肩透かしを食うが、それとは関係なく単純に面白い話だと思う。